毎年6月中旬にかけて、北秋田市民文化会館で教科書展示会が行われています。今年は6/12~6/25の間で行われていて、開催中に紹介できれば良かったですが、最終日に漸く行けただけなので、遅くなってしまいました。
おさらい:今の授業は
小学校の参観日に見ていても、問題を実際に解くよりも、グループまたは個人で考えさせて、どんどん話をさせるといった授業のスタイルに変化しているのは驚きでした。
授業で何故こうなるのか、といったワケを何通りも考えさせて、家庭学習で実際に問題の解く流れが確立しているのが、秋田県の小中学生の学力レベル向上に寄与していると思います。
となると、実際に教科書の内容も変化しているのか、気になってきます。
ウチの子供たちの教科書を眺めている分には、あまり大きな変化は感じることができないのですが、教科書が一堂に会している場だと何か分かるかな、と思い立ち寄ってまいりました。
展示会を見て感じたこと
教科書の種類
一口に”教科書”と言っても、各教科ごとに7社程度が出版しており、実に多岐にわたっていました。教科書として採択されるために、検定を通ってきているため、あまりに突飛な記述や内容はないと思いますが、各出版社ごとに色んなアプローチがあるのだと思います。
ただ、余程じっくり見ないとその差異は分からず、どういった基準で採択が行われているかや、教科書の良し悪しには気付くことはできませんでした。
道徳の教科書の充実ぶり
私くらいの世代だと、道徳の時間はあったものの、1週間に1コマくらいのそんな強い印象がない時間だったと思います。中学校に上がってからは、最早全く印象もない時間に成り下がってしまっています。実際に授業が行われていたかどうかも覚えていません。
ただ現在では、小学校では2018年から・中学校では2019年度から教科として成績評価の対象となっています。
道徳教育の目的としては、明確な答えがない課題に対し、互いに考え・議論する過程を通じて、自分なりの解を得て、今後の生き方に繋げていく、というような内容かと思います。
もっと平たく言えば、外や自分との折り合いの付け方を学ぶ、と言ったところでしょうか。
教科化の背景には、平成23年以降、急激に認知件数が増えたいじめ問題や、メールからSNSへ移行してきたスマホの使い方に対する対策が重点的に練り込まれているようです。
LINEやTwitter、ネット掲示板の使い方、コンプライアンスについても、小学校高学年から内容に盛り込まれているのをみて、時代の変化をつくづく感じました。
高校の専門教科の教科書
これは大人になってから、仕事の部署が変更になった時に知識の入門編として非常に重宝します。
私の場合だと、販売部門から生産部門に異動した時に、勉強しようと思って工場の生産管理の入門書を買いました。
職場の口上や慣例を学ぶことも大事ですが、何も知らないということは流される危険性もあるということ。そこの人を全く信用していないという訳でなく、分からない人がその部署に配属されるということは、少なからず真っ新な部分から気付いて改善を期待されていること。故に、業務上の知識は正しく付けて然るべきものです。高校の教科書に先に出会いたかった。
北秋田市鷹巣のファルコンでは、秋田北鷹高校の教科書も貸し出しされています。農業経営・食品衛生・食品加工などの基礎の基礎を学びたい方には便利です。これらで基礎知識をつけておけば、よりディープな専門書を理解するハードルも下がりそうです。
大きく変わる英語教育
でも、一番大きな変更点と言えば、小学校での英語教育でしょう。
私の小学校の時にも、ALTの先生はごく稀に来校していましたが、体系だった授業があるわけでもなく、ローマ字の学習位だったと思います。それが完全に必修化になり、成績にも反映されるとは、時代も変わったものですね。
変更点
2020年からは小学校3・4年生から年間35コマの外国語活動が義務化され、5・6年生からは、英語が教科として成績が付くようになります。時間は年間70コマです。
昨年の授業参観の時にも英語の授業を拝見しましたが、あの時のは正式には外国語活動という位置づけだったと後から知りました。その割には、授業名を英語で学んで、自分たちで好きな時間割を組むといった本格的なことをしていました。
丁度、ウチの長男の世代が過渡期というか、小学校での成績化にならない谷間の世代になりますので、中学校でのスタートが下の世代よりも苦労するのかもしれません。上手く親がフォローできれば良いなとは思いますけど、どこまで関われるか。嘘を教えたら大変なので、やりづらい部分はあります。
小学校で使う実際の教科書は?
ザクっと見た感じだと、例文や文法よりも写真や絵が多く、ビジュアルで学んでいく感じです。内容的には、中学校の色で学ぶ内容をスライドさせてきた感じで、主語の複数形も既に使われていますね。
単数形:I → 複数形:We とか。
これは私は中学で学んだ内容です。実際には、小学校のうちに600~700語程度の単語を覚えていくようです。
ただ、本当に感心したのは、ページに何気に散らばされているQRコード。これを読み取って見ると…こんなサイトに飛ぶことができます。
色んな昔話やおとぎ話の登場人物が街に散らばって、食べたりスポーツしたり店員さんをしていたりしています。そして、この絵の中には様々な職業の英語表記があります。そこをタップすると、なんと・・・!
読み方が音声で流れます!
実際にネイティブの発音を音声で学ぶことができました。このQRコードは色んな出版社の教科書についていたので、標準装備なのでしょう。小学校の英語教育は、最初からいたせりつくせりで進んでいくようです。
実際にQRコードを授業で使うのか、その場合の読み取りは何で行うのか、帰ってからの家庭学習で使うのか、疑問は尽きません。しかし、2年後には次男が実際に使うことになるので、楽しみにしていようと思います。
本当に伸ばしてほしい力
私が実際にアメリカに行った時には、意外と話すのは大丈夫なのでした。実際に授業で学んだ文法よりも、砕けた言い方・慣用句で何とかなります。ビジネスやアカデミックなシーンだとまた違うでしょうが、物事は段階があるので…
でも、根本的に聞き取りができないと会話まで辿り着かない、この一点が非常に残念に思ってきました。
英語を書ける(記述できる)と英語を使える力(会話できる)は、根っこは一緒かもしれませんが育てる部分は別物。グローバルな人材育成を目指した、小学校からの英語教育ですが、聴く力の育成は特に力を入れて欲しいです。
と言ったところ、中学校以降の授業はオールイングリッシュで行われるというので、その辺はキチンと抑えられているようです。早く基礎的な学習を終える分、より実践的な英語の使い方を以降の授業を使って行うイメ―ジになります。
まとめ
- 昔に比べて充実しているのは道徳・英語
- 英語は2020年からは小学校でも教科化
- 中学校以降の英語授業は”基本”英語で
- 高校の専門教科書は入門書として活用
- 時代は反映しているが、実情に追いつくか
1981年生まれの私は、ちょうど詰込みとゆとりの狭間と言えるかもしれません。土曜日の半ドンが徐々に土日完全週休2日になってくる時期だったり。授業の総コマ数も前の世代の約95%とガクッと減ったタイミングでした。
それでも高学年になった時の6時間授業は辛かったし、家庭学習・毎日の絵日記も何気に大変だったのは記憶にあります。そのお陰か、幸い日常生活を不自由なく送れてはおりますが、これからの小中学生はやることが増えて大変だなと思います。
ただ、大人がどうフォローできるか。
実際に、指導要綱の変更に対応する先生が大変そうです。もしかすると、家庭の方でも勉強を見てあげるなんてことが困難になるかもしれません。少なくとも私は自信がありません。ウチもあまり出来が良い方とは言えないので、一緒に勉強しなおすか…本気で考えています。
後は、道徳が基本的な人の道を教える場として機能してくれれば、と願うだけです。スマホ・アプリ・ネットの使い方は、大人から教育が必要な部分もあり、家庭で上手く話す場になれば機能してくれるとは思いますが…。
自分で出したゴミは自分で始末しようとか、時間は守る、とか基本的なことができない大人も目の当たりにしていると、やっぱり必要な授業なのかと思ってしまいます。
差し当たり、LINEやメッセージ(SM)を突然5通も連発するのは、受ける方が心臓に悪いので、良くないということは今後は盛り込んでほしいですね。(これで私は携帯を通常サイレントにすることに。もうバイブの振動も良くない)
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