今年は秋田県のみならず、東日本全域で熊の目撃情報、人身事故が非常に多くなっています。
昨年は秋田市の食品スーパーマーケットに熊が侵入、約3日間立て籠もった事例はありましたが、ここまで熊による被害件数は多くなかったと記憶しています。
ただ、一昨年は奥山のブナの実が凶作だったことも影響し、同じく熊の被害が頻出して、北秋田市中心部においても多くの方がケガをする事件が発生していました。
そこを時系列で追っていくと、2023年ブナの実凶作によって街中に下りてきた→2024年山の中である程度暮らせたので目撃・被害がやや減少→2025年凶作で再び街中へ。
大雑把にはこのような流れかと思いますが、それにしても今年は熊をはじめ野生動物による影響が大きく、長く続いているので、実際のところをまとめてみました。
学校は送迎が基本に

普段は我が家の子どもたちはこんな感じで学校に通っています。
小学生はスクールガードに見守られながら、集団登校、徒歩にて登校、帰りは、児童館で親の迎えを待ったり、直接帰ってきたりと個々の自由になっています。距離が離れた通学区域では、集団で路線バスを待っている風景も見かけます。
中学生は徒歩・自転車、遠方地はスクールバスが出ていますが、基本的には個々に登校・帰宅、高校は完全に個々の対応になっています。
ただ、10月半ばくらいから熊の目撃が頻発するようになってから、市のクリーンアップなども中止になりつつ、登校も小中学生は親による送迎が基本、高校も場合によっては送迎を要望されることになりました。
親や祖父母などが自宅にいる家庭であればある程度は対応できますが、両親とも日勤の家庭は特に大変そうです。
休みをとったり職場への到着時間が遅れたり、中にはタクシーで送迎させている家庭もあるようで、その負担はかなりのものになっています。
営利活動に対する影響

熊は秋には冬眠前に脂肪を蓄えるため、昼夜問わず行動するためどの時間帯にも目撃されていますが、一般的に行動が活発な時間は”薄明薄暮”と言われ、日の出前と日の入り後の約30分〜1時間半の時間帯を指すようです。
丁度、登下校の時間帯に合致しますし、冬に向かうにつれ暗くなるのも早くなると、熊は黒いので気付くのが遅れてしまいます。
それを警戒してか、外出は午前中の内に済ませようという動きがあり、小売りにおいては午後の集客が減る傾向にあるようです。
また、外出頻度自体が減るので、来店頻度も減少する傾向が見られるとのことでした。
また、今年は自動ドアを開けて入ってくるケースが何回もか起きており、お店の自動ドアを手動に切り替えて熊の侵入を防ごうとする対応が見られます。
一見、有効的な対応かと思えるのですが、自動ドアを手動で開けるのは結構重いのです…
そのため「ドアが開けにくい」というクレームもあったとかなかったとか…と言うことで、企業活動にも大きな影響を及ぼすようになってきています。
熊が特に多い原因
ブナの凶作

ブナの実の凶作は、気象条件や生理的周期、他の樹種との同調不作などが複合的に影響して起こります。特に”マスト“と呼ばれる豊凶の周期性(豊作の翌年は凶作…というような周期がある)が大きな要因です。
また、春の開花期や夏の受粉・結実期に低温や長雨、強風などの異常気象があると、花が咲かなかったり、受粉がうまくいかず、実がつかないことがあるようです。
特に、2025年は福島県を除く東北5県全てで大凶作で、青森県においては調査地点の実に82%でブナの実が結実無しだったとのことです。
”ある動物”の増殖による可能性も

意外なことに“ニホンジカ”の増殖が熊の行動に影響を及ぼしている指摘もあります。
シカの個体数は全国で増加傾向にあり、分布域も拡大しています。かつて人の手が入りにくかった奥山にも進出し、希少植物や下層植生を食い荒らしています。
熊は春から秋にかけて、山菜や果実、昆虫など多様な食物を摂取します。シカによる下層植生の消失は、熊の食物資源を奪うことにつながります。
植生の消失により、熊が身を隠す場所や移動ルートが減少し、人里への出没が増える要因となる可能性があるとのことです。


里山の消失~自然への回帰
ここで、先日目にしたXのポストを紹介します。
熊が増えている原因について、「自然破壊のせいだ」という声をよく耳にします。
— 村上アツシ@BEAUTIFUL CARS®︎代表 (@Murakami_BC) November 1, 2025
しかし私の実感は少し違っていて、むしろ今、人間が「自然に押し戻されている」のだと強く感じています。
自然は、畏怖の念を抱くほどに強い存在です。… pic.twitter.com/ZsRhjoLZHv
熊の生息域は、90年代に消失した集落のエリアまた人口減で里山が消失していくに比例して拡大していています。
また、私自身も秋田県内を移動していると常々感じてきたのですが、ツタに覆われる斜面や人工物がどんどん増えてきている気がします。
人工物は季節ごとに手入れしてくださる方が”今は”いますが、更に少子高齢化が進み人口が減った時に手が回るのかという不安は拭えません。
近い将来のコンパクトシティ化は避けて通れない話題かと思いますが、更に”自然に押し戻される”速度が上がった時に、熊の脅威はどこまで上昇するのか。
他にも、鹿、イノシシ、猿と北秋田市内ではこれまであまり話題になっていない動物が増えているので、合わせて対策が必要かと思います。
注意すべき場所

熊が街中に出没する際、特に危険性が高いのは「川沿い」・「公園」・「住宅街の縁」・「ゴミ置き場」などです。
特に熊は水辺を好み、川沿いを移動ルートとして利用します。特に山から市街地へ降りる際に川沿いを通ることが多く、人との遭遇リスクが高い場所です。
秋田市卸町のラウンドワンで捕獲されたニュースもあり、「こんな街中に…」と思いますが、すぐ裏は川が流れているので移動しやすい経路だったということです。
また、北秋田市においては10月くらいから栗や柿の木での目撃情報が特に多くなっているので、エサになり得る果樹の近くも遭遇する可能性の高い場所になっています。
ただし、家の敷地内で襲われているケースも今期は多いので、外出する際には玄関のドアを開けたら、一旦立ち止まって周囲を確認した上で車に乗り込む、という対応もしておきたいです。
まとめ
2025年11月時点の北秋田市鷹巣に住んでいての熊の状況、実感をまとめてみました。
- 子どもたちの学校への送迎は家庭によっては大きな負担になっている
- 心理的に外出に対して抵抗が出てきていますし、経済活動へも影響が
- 熊の増殖は原因が複合化しているため、根っこからの対応は時間も手も膨大にかかりそう
ようやく11月18日前後の天気予報で雪マークがついたこともあり、通常であれば冬眠に入ることで熊の脅威も減ってくるとは思いますが…
冬眠しない個体もいるようなので、引き続き雪が降ったとしても油断せずに自衛はしていきたいですね。
その間に個体数の調整も含めた対策が進むことを願います。


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