去る3月16日、立候補のめどが立っている2人による討論会が秋田市で行われ、それぞれの公約や考え方について議論が交わされました。
私は会場には行くことができなかったのですが、注目度が非常に高く、会場には217人もの人が集まったそうです。
と言うことで、Youtubeにアップされた録画動画を視聴したので、それぞれの要旨をまとめてみました。
政策の優先順位

短期的にまずは社会減に手を打つ。
今の経済基盤でもAターンして子育てしたい方は潜在的にいる。
中小企業の生産性をアップー人手不足は深刻化。企業誘致しても同様。
持続可能な地域、農業・建築業の所得をアップ
所得を増やす
人口減少・少子化対策の基本。将来的な希望を持たせるために基盤
災害の復旧対策、物価高騰に対策を打って、安心して暮らしてもらう
政策の優先順位の違いは、方法論によるものかなと感じました。
年齢的なものか、一度秋田県から出た経験を持つ私としては、今の状況では鈴木氏の方がより即効性があるのかなとも思いましたが、求人票なんかの給与水準をみると猿田氏の仰ることもわかる訳で。
優先順位…とかよりも、両輪で進めていくべき前提条件なのかなと思いました。
これからの自治体のあり方について

- 秋田県は役所の地位が高いと感じる―公務員はサポート役、もっと住民とフラットな建付けに
- 若手・中堅の意見がもっと活発に反映される組織運営
- 財政ー民間のチカラを活用するべく、オープンデータ、PFIなど新しい機能を進める
- 防災ー全国組織のNPOの知見が凄い。外のチカラをもっと活用する自治運営
- より激しくなる変化のスピードに対応するスピード感・柔軟性が必要
- 働き方改革で、状況に対応する能力と気持ちを持ってもらう
- 市町村との連携強化ー人口減の中で行政の効率化、市町村の業務業務の補完が県でできないか
- 隣県との連携ー観光・防災・医療などをで連携を深めていく
いずれも人口減少の中で、これから秋田県はどのような運営をしていくか、というお題だと思います
猿田氏は、関係団体との連携を通じて、行政の効率化という部分を強調されていたと感じますが、その点は防災の面で鈴木氏も外部の力を活用と言う主張をされている部分で共通していると思います。
これからは秋田県内の個々の自治体単位や、秋田県の中だけでなく、より広く連携していくことが必要と感じました。
自治体経営ー議員の数について
司会の方が、北海道やアメリカのとある州の議員数について引き合いに出して、人口に対しに秋田県議会の議員数が多いのではないかと言う提起を行いました。
- 秋田県は広いのでやろうと思えば議員は無限に仕事がある…普段、この議員が何をやってどのような成果を出しているのか、どのように受け止められているか選挙で反映できる仕組み作りが大事
- 結果いらないとなれば減少、必要になれば維持または増大
- 大事なのは議員のクオリティ
- 風土も違うので申し上げられないが、税収を上げて人口が減っても幸せに秋田で暮らしていけるようにしていく
- 役所は効率化し、最小限の経費で最大限のサービスを行っていく
議員の仕事の在り方・理想像について
- 県民の声を効く
- 制限の中でできるだけ反映
- 結果をフィードバックしていく
- 以上のサイクルが回ること
- 県民の声を受け止める
- 声を分析し、建設的な提案を行う
- 県政の動きを県民に伝える
少子化と子育て支援について

- 婚姻に関して
-
- 秋田から出て子育てしている方たちのAターンへターゲットを絞って対策を行う
- 現状行っている対策はもっと真剣に行う(婚姻支援イベント…女性来ない理由「広告がどのように配られているか分からない、フォロワー70人のXアカウントで告知している等、無駄が多い
- 子育て支援について
-
- 小中学校の給食無償化
- 教育はより自主性を重んじる方向へシフトしていく(学習調査で全国上位の成功体験が今は古くなっている?)
- 出産・育児を安心してできるー産婦人科が消えている状況に手を打ち、それぞれのふるさとで出産できるように
- 県外へ出る方への対策
-
- SNS活用…学校単位等小さなコミュニティ単位でLINEのアカウントを持ち。身近な話題を成果を配信し、普段から繋ぎとめておく
- 婚姻に関して
-
- 経済力と婚姻率が相関がある…経済力を付けることで、若い人たちの定着を図っていく
- 行政からの働きかけ(婚姻支援センター)は個人の尊厳との関りで慎重に行うべきだが、機能の拡充は必要
- 子育て支援について
-
- 給食費・医療費・保育費の無料化
- ひとり親への経済的支援が必要
- 県外へ出る方への対策
-
- 就活情報サイト【こっちゃけ】利用が中々増えてないので促進(現状4000~5000人/年流出しているが、登録者は1000人位)
- 県内企業へのインターンシップに対して旅費を支援したい。
両者共通して言えることは、学校・保育に関わる部分の無償化でした。
給食費の無償化については、国の政策と被る部分が出てくると思いますが、現在の食材費高騰の中で、どのように給食の質を担保していくかと言う部分も、踏み込んで聞いてみたいと思いました。
外部業者で請け負っている方も、経費の掛かり増しで事業として成り立たなくなりつつある現実もあります。
経済活性化について

- 佐竹県政の再生可能エネルギー・企業誘致は継続→賃金向上へどう繋げるか
- 生産性向上への補助金を活用しやすい仕組み、意識にする
- 賃金競争はいきなりは難しいので、経営基盤をまずは強化していく(賃金上昇は上からではなく声を聞きながら慎重に)
- カーボンクレジット…大量の山林・農地を持っている秋田県の収入源として他県・他国の企業からの取引を活かして農山村の収入も上げたい
- 高校・大学の同期が活躍しているので、人脈も活かして企業誘致を進めたい
- 最低賃金1,500円を達成できるように県内企業を強力にサポート。まずは民間に頑張ってもらう。
- 誘致企業は今後もさらに強化するが、再生可能エネルギーを売りにする(半導体・データセンター…世界中から投資を呼ぶ)40haの工業団地を準備
- 大館能代空港…航空機のリサイクル産業、秋田空港…電動化システムの開発拠点を増やす →空港を活用した事業を拡大
- 再生可能エネルギーの企業だけでなく、人材を呼び込みたい→研究所を作りたい(作るから活用へ)
両社の共通点としては、秋田の今の武器を生かしつつ、より今の政策をアップグレードしていく方向性と感じました。
いずれにしても、洋上風力発電に代表される再生可能エネルギーの活用と、豊かな自然や土地を利用した新たな事業を呼び込むことが今後のカギとなっていきそうです。
観光政策について

- 今の政策は結果が出ていない。まずは秋田の強み・弱みを把握、ターゲティング、ルートの整備をまずはしっかりとしないと量だけ増やしてもダメ
- 地域ごとの特長を元に、どの国・どの層へ売り込むかを絞った振興策が大事
- 二次アクセスの問題 ー北東北巡りなど他に何を秋田に求めてきているかを調べる
- クルーズ船…情報が足りない。もっと解像度を上げた情報の出し方が重要
- それぞれの地域の取り組みをハード面でも支援・県としては県外への売り込みを強化
- 2つの空港の名前を世界から公募して変えたい→調べて知ってもらうきっかけに
- インバウンドは隣県の空港からも呼び込むアプローチをしていく
- 大阪万博へ世界から来たお客様を呼び込むべく、関西空港に立ってアピールをする
- クルーズ船…今日はどこの国の船がいつ来るかななど情報を出して、垂れ幕など民間へもおもてなしの行動をしてもらう
観光振興策についてが最も2名の間で見解が分かれていたと感じます。
猿田氏は今の政策をある程度継続しつつ、アップグレードをしていく方針に感じました。
反面、鈴木氏は現行の政策や状況を分析し直して、改めてマーケティングの面から施策を絞り込んで行っていくように感じました。
こちらに関しては…東北6県の中でも秋田県への観光客が著しく少ないことを鑑みると、一旦立ち止まって見直す方向を私は支持したいと考えます。
まとめ
約2時間という限られた時間だったので、本当は両者ともにもっと言いたいことや考えていることはあったと思います。
それでも、これまで知事選の公開討論会など見ることがなかったので、改めて候補者の主張や政策を触りだけかとは思いますが、知ることができました。
欲を言えば、来年度から選挙権を持ち始める長男なんかとも見たいと思うのですが、まだ実感がなかったようか…スルーされてしまいました。
いずれにしても、16年ぶりに知事が変わる秋田県です。
しっかりと政策を吟味して、権利を行使したいと思います。
できれば北秋田市市長選でも公開討論会を行ってほしいと思いますが…いかがでしょうか。
- 3月20日 告示
- 4月 6日 投開票
- 3月30日 告示
- 4月 6日 投開票
コメント