お盆商戦も一段落。週明けからは夏休みは続くものの、普通の暮らしに戻っていきます。
今年のお盆商戦は、昨年同様コロナ禍の中で帰省が少なく苦戦も予想されていましたが、蓋を開けてみると、思いの外好調だったと思います。お店の中で商品を運んでいても、昨年とは違う”賑わい感”を感じることができました。
走っている車が増えたとはあまり感じませんが、県外ナンバーの割合は昨年よりも多かったと思います。飛行機や新幹線の予約状況は少なくも、自家用車による帰省は増えていたかもしれません。それ故に、1週間後のコロナ新規感染者数には注視してみましょう。より一層の予防行動が必要になるかもしれませんね。
そして、相変わらず人気だったのが、鶏肉を使ったメニュー・商品。年間を通してもスーパーの惣菜のトップを争うのが鶏唐揚げで、この構図はどこのお店でもあまり変わらないです。
また、きりたんぽ鍋にも必要なため、秋田県民にとって鶏肉はなくてはならない食材と言えると思います。
しかし、このタイミングで気になる動きが・・・
コロナ禍や資源の減少などが影響し、様々な食材のモノ不足・値段高騰が続いている中で、比較的安定した値段を保っていましたが、9月位から価格高騰になりそうな雰囲気が出てきました。
タイ産鶏肉が足りなくなる…かも?
発端はタイの工場における生産能力の下落。
日本における鶏肉の自給率は60%半ばと比較的高いのですが、年々下降傾向。反面、需要は伸び続けているので、輸入量も増えていることになります。
日本における鶏肉の輸入先
生肉はブラジル産・タイ産、味付け肉や唐揚げなどの加工品はタイ産・中国産が多くを占めます。生肉・加工品を合算した総量はタイがトップで、知らず知らずのうちに口にされていると思います。
ザックリした内訳を下記にまとめてみましたので、参考までに。
また、向こうの工場で作ったものを輸入するだけでなく、日本企業と現地企業の合弁会社を作り一緒に商品開発をしたりと、結び付きは非常に深いと言えますね。
因みに、生肉については、価格優位性はブラジル産・品質優位なのはタイ産と言うのが一般的な評価です。
実際にブラジル産/タイ産の生肉(角切り)を使ってみた感は、タイの方が品質的に安定していて、丁寧な仕事をされている印象です。値段は少し高いですが、それでもクレームが出にくい安心感・ドリップを差し引いた重量などを比べると、ブラジル産鶏肉よりもコスパは良い気がします。
*ただし、同じ国でもメーカーによっても品質が変わるので一概に線を引けないことも断っておきます。
不足の原因は…?
一言でいえば、新型コロナウィルスのデルタ株が猛威を振るっていること。
8/11時点ではタイ・マレーシアあたりは、1日に2万人前後の新規感染者数。他の東南アジアの国でも、ベトナムのホーチミンはロックダウン、インドネシアは1日40,000人を超える新規感染者が出るなど、日本よりも厳しい状況と言えそうです。
また、タイにある工場内でクラスターが出て、従業員の半数近くが罹患した工場もあり、稼働状況は非常に悪い状況になっているようです。
タイの鶏肉工場のおおまかな事情
日本の工場、農業など様々な業種と似ている状況と言えるかもしれません。
東南アジア諸国の中では、GDPが高く豊かな国のタイ。他国へ出稼ぎに出る方もいますが、隣国のラオス・ミャンマー・カンボジアからの出稼ぎ労働者の受け入れ先としての一面も持っています。
十数年前の記事ですが、下記リンクが詳しいです。
そして、鶏肉加工における最初の部分(屠殺)を担うのが、上記の国々からやってきた方々。タイの方はその後の加工業務、比較的後半の”きれいな”部分を担当されている構造らしいですね。
加工はできるが、そもそもそこまで鶏肉が回ってこれないので、製品が作れない状態。そして、〆られない鶏が大きくなり続けていて、加工品の規格から外れていくため、余計に製品の出荷が滞るようになるとの悪循環なようです。
まとめ
今後予想される鶏肉の値段高騰の要因を聞いた話ベースですが、まとめてみました。
今のところ、生肉についてはブラジル産は輸入できているので、いきなり無くなったり劇的に高くなるというわけでもなさそうですが、お財布的に痛いことには変わりません。ただ、加工品については一時的に姿を消すものも出てきそうです。
後は国産を積極的に選んだり、他の肉種を食べるということになると思いますが、この機に大豆ミートを試してみるのもアリかもしれません。
正体はそのまま、大豆をお肉のように加工したものです。元々大豆は”畑のお肉”と言われるように、タンパク質が豊富な食材ですが、肉に比べると食物繊維が多く摂れる健康食品です。
ただ、カロリーや脂質自体は本物のお肉と変わらないのでその点は注意が必要。
また、畜肉よりも環境負荷が軽いというSDGs(最近やたらと耳に入るので、私自身は少し疑っていたりしますが…)もカバーしてしまう注目の食材です。
以前は美味しくないイメージが先行していましたが、メーカーの努力で美味しい商品も出てきました。特にZERO MEATのハンバーグは、ビーフ100%に近い味わいながら、植物性原料だけでできているという驚異の出来だと思います。
今は割高ですが、大豆相場の落ち着きや、大豆ミートの流通増でコストも下がる可能性があります。
ハンバーグだけでなく、ひき肉や細切れ肉のような形態もありますし、これから注目したい食材です。
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