秋田県を代表するお米と言えば…
ここ数年は新たなブランドとして「サキホコレ」が取り上げられてきましたが、主力品種は何といっても「あきたこまち」ですね!
その「あきたこまち」に今年度の栽培から大きな変化があります。
人によっては色々な受け止め方があると思いますし、Googleで検索すると、比較的ネガティブな反応が多いような印象を受けます。
秋田県の公式サイトや、配布されているパンフレットに書かれている情報をまとめてみましたので、判断の一助になれば幸いと思います。
“あきたこまちR“とは?

”あきたこまちR”は、秋田県が開発した新しい水稲品種です。
この品種は、従来のあきたこまちと同様の特性(収量・食味など)を持ちながら、カドミウムの吸収を極めて低く抑えることができる点が特徴です。
「あきたこまちR」は「あきたこまち」と外観や品質等に差がないため、取引関係者の合意を得て、国の制度に基づき同一銘柄となります。(引用;https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000073119_00/あきたこまちR_業者用A4.pdf)
ということで、新たに店頭に並ぶ際には「あきたこまち」の銘を打った袋でこれまでと変わらずに並ぶことになるようです。
種もみも、目標の2,110tに対して概ね予定通りの収穫量を確保でき、一般栽培者へ配布され、今春から作付けが始まっていきます。
不安視される要因と個人的な見解
安全性の立証が十分にできていない。放射線を当てるわけだから‥
これは社民党・福島みずほ党首の弁。
そして、このような会合の開催を予告するXのポストを見つけましたが、しっかりとコミュニティノートがついていました。


原発の処理水の海洋放出の際にも同じような反応をされていたように思います(あくまでも個人の感想)。
私も100%安全かと問われると、自信を持って絶対に大丈夫とは言える根拠はないのですが…あきたこまちRができるまでの育成系譜を下に表してみました。

イオンビーム照射でカドミウムをほとんど蓄積しない突然変異種「コシヒカリ環1号」を父品種とし、7代に渡ってあきたこまちを交配し、カドミウムを蓄積しないものを選抜した結果、あきたこまちRが誕生しました。
また、その交配・選抜の過程で何年も経過しているので、米自体に放射線が残っているわけではなく、自ら放射線を出すものでもなさそうです。
そもそも、東日本大震災以降、放射性物質の基準値を超えないようにするため、厳格な検査体制が整備されています。
必要に応じてモニタリング検査がされ、基準値を超える数値が出た場合には出荷止めがあるので、流通することもないはずです。
なので、私個人としては特段騒ぐことなく、今まで通りに有難く食べていこうと考えております。
特性から見る販売戦略と不安

あきたこまちから“R“へ切り替える目的は以下の3点です。
- 安全な米供給のため →カドミウムやヒ素の同時低減を可能としたい
- 輸出の拡大のため →国際基準を見据えた米生産を目指したい
- 農家の負担軽減のため →カドミウム吸収抑制のための「出穂期の前後各3週間の湛水管理」を縮減したい
(引用;秋田県ホームページ「あきたこまちR」への切り替えについて)
基本的に良いことであると思いますが、今の情勢から個人的に気になったのは、②の輸出拡大です。
先日、2025年の全国都道府県ごとの米の生産量の見込みが発表されました。
昨年からの米騒動や価格高騰を鑑みて、29都道府県で増産の見込みを出しています。
しかし、秋田県は逆に-0.3%と減る見通しになっていました。
また、気になるのは、東北6県で増産を見込んでいるのは山形県だけでした(福島県は不明)。
元々米の消費量は年々落ちている中、過剰生産になれば米価格の下落を招くリスクもありますし、そもそもの生産者も減っている中で、増やす見込みを立てにくい事情もありそうです。

その中で、輸出拡大を見据えた品種に切り替えて、実際に輸出が増えた際に、秋田県では米どころなのに米がないと言う事態にならないかが心配です。
と、途中まで書き留めていたら、今日、このようなニュースが目に入りました。

考えとしては、米の生産を増やして、まずは国内の流通を充足させる→余剰分を輸出していく→不作の年は輸出を減らすといった感じで、輸出を調整弁として使うようです。
元から減反に舵をきらずに、最初からこの考え方を持っていたら、今回のような米騒動は起きていなかったかもしれませんね。
ただ、その当時の日本米の海外からの評価がどのようなものだったのかも関係するので、ここでは一概に結論は出せませんが…
まとめ
今年度から本格的に栽培が始まる”あきたこまちR”についてまとめてみました。
- カドミウムの吸収を極めて抑えた、あきたこまちと同様の特性を持った品種
- より厳格な基準を求められる海外へも輸出しやすい品種
- 販売戦略と現在のコメ不足の現状がどうもちぐはぐに感じる
本来は、これまでの栽培方法でより安心・安全なお米ができ、栽培に関して農家の負担も減り、輸出もしやすくなるというより良い品種です。
ただ、冒頭に受け止め方は人それぞれの部分…最初にイオンビームを放射して突然変異を起こした品種を親としている部分に引っかかっている方は多そうです。
ただ、誤った理解や、学術的根拠なく騒ぎ立てるのは、最早誹謗中傷にもつながりますし、秋田県の方でも注意を喚起しているので、どの立場でも冷静な言説を望みたいものです。
また、国として輸出を拡大していく方向は悪いとは思いませんが、まずは国内の流通が充足すること、それを第一に考えていただきたいです。
米は外に売りますが、日本国内は飢えている状況…そんな未来が来ないことを祈っています。
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