秋田県の農作物と言えば、やはりあきたこまちをはじめとした米のイメージを持たれる方が多いと思います。でも実は、日本の北部にある位置だったり、山間部の比率が高い地理条件を利用して、甘味のある味の良い果物や農作物が出荷されているのはもっと知られて欲しい事実です。
その代表が、ブランド桃【かづの 北限のもも】です。
主力品種は川中島白桃で、桃の品種ごとの作付面積では、1位・あかつき、2位・白鳳に次ぐ第3位を誇る人気品種です。
”北限”の理由
桃の栽培自体は、北海道や青森・岩手でも行われており地理だけで言うと、全く最北ではありません。しかも、平成26年時点の統計では、秋田県の桃の生産量は青森や岩手県よりも若干少ないくらいです。
それでも北限を謳える理由はその出荷時期に有ります。主要産地で最も遅い出荷なのが、この地域の桃でした。
鹿角での桃の出荷は、7月下旬から徐々に始まり、9月中旬に最盛期を迎えます。ただ、川中島白桃の出荷時期は一般的には8月上旬からの様です。様々な作物でも品種ごとに早生種・晩成種がありますが、同じ品種でも一月出荷がずれる理由…それは自然環境に拠るものです。
青森県での主要な桃の栽培地は、南部町・三戸町・弘前市・平川市辺りですが、より北にある青森県の主要産地に比べても、鹿角市の平均気温は年平均で0.4℃程低いです。極僅かな差の様にも思いますが、そのため出荷の時期が遅くなっていきます。
また、やまだのきみの記事でも触れさせていただきましたが、北秋田市と同様に山間の産地のため朝晩の寒暖差が大きい地域です。また、夏よりも秋の入り口の方がより寒暖差が大きくなるため、収穫としては最後に当たる今時期の方がより果実に甘さを蓄えていることは想像に難くありません。
秋田県の桃の出荷シェアは?
農林水産省のホームページなどを見ても、桃の生産量の都道府県別の最近のデータが10位までしか表記されないため何とも言えません。
平成26年時点では全国で14位で、日本全体の生産量に占める割合は0.6%と極僅かなものです。東北でも福島・山形・青森・岩手に次ぐ5番目と余り目立った存在ではないのですが、若干ではありますが年々作付面積・生産量は上がってきているようです。(参考:地域の入れ物様)
また、東京都中央市場に限るとは年間の取り扱い量は、平成30年では全国で第7位、出荷がピークを迎える9月には全国で第5位まで上昇します(参考:果物なび様)。あくまでも東京市場内の統計なので、遠い産地では不利に働くという条件付きではあるものの、存在感を徐々に増している傾向と前向きに捉えたいです。ただ、主要産地に比べると1ケタ少ない出荷量ではあることは補足しておきます。
食べた感想は?
桃って本来こんな食べ方をするものではないと重々承知していますが、剥くのも面倒なので丸かじりしてしまいました。
食感は熟し具合にもよりますが、一般的にはやや固めの触感で、ジュクジュクした柔らかいのが苦手な方にはおススメです。暖かい産地の桃は甘いと言われますが、かづの北限のももの特徴としては、甘さは勿論のこと程好い酸味が感じられ、そのバランスが非常に良いです。
たくさん食べても飽きの来ない味で、あるだけ食べてしまうという危険があることは考慮に入れましょう。
こんな加工食品も
●北限の桃ジュース・参考価格1本120円+税
コチラは1年中、最もお手軽に楽しむことができる桃ジュースです。勿論果汁は100%です。反面、果汁100%のジュースって酸味を抑えるために、砂糖をガンガン入れてしまうため、妙に濃くて後味がべたつく位のもあります。
しかし、こちらは限りなく最小限の加糖だけで造っているようで、甘いだけではなく程よい酸味もありサラッとした飲み口が美味しいです。そのまま飲むのは勿論、またお酒と合わせても良さそうです。
道の駅やお土産屋さんでは普通に手に入りますし、お店によってはお得な箱売りをしているところもあります。
後は、こんな感じで加工したお菓子も何種類か見かけます。
北限の桃フェア開催中
道の駅あんとらあでは、今年も9月7日(土)~9月16日(月)の期間で桃フェアを開催しています。
北限の桃の販売、ギフト発送は勿論、今しか食べられない限定スイーツ・レストランメニューもあります。下記の桃カレーなんかは頼むのに勇気がいるメニューではありますが、辛めのカレールーだと桃の甘さと対比してかなり美味しくなりそうな気はします。
●過去の様子はコチラ
まとめ
この時期の美味しい秋田の味覚・かづの北限のももを紹介しました。
同じ桃・同じ品種でも最晩成期に出荷できるメリットとしては、夏が過ぎ朝晩の寒暖差が更に大きくなる今時期の方が、果実に糖分をより多く蓄えていること。各農家さんでも栽培の工夫はあると思いますが、食味に関しては元々の自然環境のポテンシャル上、非常に有利と言えそうです。
稲作が中心の秋田県ですが、お米以外にも美味しい農作物もあることはどんどん発信していきたいですね。
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