前回の記事で出た結論・我が家のソーラーシステムは現状利益を生み出していない話。
ただ、元々は電気代が下がっていくことはないだろう、という予測の元導入した面もあります。折しも、東北電力は2023年4月から大きな値上げを発表しました。
この値上申請が全面的に通った際に2022年4月と比べてどうなるのか、我が家の例を元にシミュレーションしてみました。
また…
平均一般家庭で約35%の値上げ見込みです
と一口でテレビ・ネットニュースなどで言いますが、その中身が全然見えないので、改めて詳しく調べてみました。
基本料金よりも使用料の分が値上げ幅が多い方が、太陽光発電の恩恵は得られると思いますが、果たしてどうなるやら。。。
”値上の中身”を紐解いてみる
まずは値上げの理由・中身について、東北電力の資料を読み進めてみます。
値上げの理由
- 基本料金:発電所維持のための固定費用増大による
- 電力量料金:燃料価格や卸電力取引市場の価格高騰による
とのことですが、基本料金については他にも
- 省エネの進展
- 再エネの普及
- スイッチング(電力供給会社を自由に選べるようになったこと)などでの電力量の減少
が理由として発表されています。
新電力の経営破綻が続くなど、これまで国が政策として進めてきたことが、完全に裏目の方向に出ているような印象を持ってしまいます。
例1:従量電灯Bの場合
こちらが一般の家庭で契約数が多いと思われるプラン。今年2月いっぱいまではこの内容で、30Aで契約しておりました。
料金項目 | 従来料金(2022年12月)*1 | 2023年4月から |
---|---|---|
基本料金 10A(1kWh)当たり | 33円 | 38.5円(+3.5円) |
単価 120kWhまで | 22.05円 | 31.79円(+9.74円) |
単価 120~300kWhまで | 28.80円 | 38.68円(+9.88円) |
単価 301kWh~ | 32.75円t | 42.89円(+10.14円) |
単価の上がり方が大幅で、これを東北電力の発表では、260kWh使用の仮定でシミュレートしていました。
その結果、2,717円の値上げとなり、その値上げ幅は31.72%となる見込みとのことでした。
例2:よりそう+ナイト8
現在、家が契約しているプランの場合で、オール電化・太陽光発電システムを導入している家はナイト8・10・12のいずれかのプランに加入済みかと思います。
料金項目 | 従来料金(2022年12月)*1 | 2023年4月から |
---|---|---|
基本料金 主開閉器契約10kVa | 1,980円 | 2,530円(+550円) |
昼単価 90kWhまで | 34.66円 | 33.66円(-1.00円) |
昼単価 90~230kWhまで | 42.70円 | 41.70円(-1.00円) |
昼単価 231kWh~ | 47.40円 | 46.40円(-1.00円) |
夜間料金 | 23.69円 | 29.62円(+5.93円) |
こちらは…
あれ~、安くなってるじゃん!
と一見思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、昼間料金が安くなるよりも、夜間料金の値上げが大きいので、使い方にもよりますが、やはり実質は値上げになります。
しかも夜間料金の値上げの理由が…
- 深夜機器の普及による夜間電力の需要増加
- 再エネの普及拡大
- 省エネの定着による昼間需要減
ということなので、これまた再エネ・省エネが電力料金の値上の理由に組み込まれています。
単価の見え方の差異は?
上記2プランの従来料金を比較すると、1kw当たりの単価(特に昼単価)が大きく違うことに気付かれると思います。
その原因は、燃料調達費上限撤廃の割り当て方に依るものです。
細かく色々ある東北電力の料金プランにも、大きく分けると2種類あることを、実は今回初めて知りました。
- 従量電灯B等 …規制部門
- ナイト8等 …低圧自由料金
規制部門の方は、2022年12月の燃料調達費の上限撤廃の影響はまだ受けていないため、ナイト8に比べると単価は低くなっています。
しかし、ナイト8など低圧自由料金プランの方々は1kWhあたり単価が11月までと比べ9円以上アップしています。
実際11月に入り、発電量自体も少なかったのは事実ですが、10月→11月の電気料金が倍近くにまで上がったのは少し衝撃でした。そして、来年1月には更に1円程度アップになるので、更に懐が厳しくなる状況に陥っています。
新規の項目も!?
2023年4月から託送料金も値上げされるというニュースもありました。正式な金額はまだ出ておりませんが、現時点では1kWhあたり1.21円↑を想定しているようです。
託送料金をざっくり言うと【送配電網の利用料金】のことです。
2023年度には『レベニューキャップ制度』導入によって託送料金の算定の方法が変わるためです。レベニューキャップ制度については、こちらサイトが非常に分かり易く解説されているので、参考にしてみて下さい。
再エネの普及・省エネ化が進むことで電力需要が大きく伸びない現状の中、電力会社の利益の総量も伸びない状況なようです。
それでも以下のようなインフラ維持に関するコストは、増大する傾向です。
- 再エネ電源拡大に対応する送配電網
- デジタル化に対応する電力インフラ
- 自然災害の激甚化
- 高度成長期に配備した送電網設備の更新
特に今年も雪が多く、今日は福島・新潟で稀にみる大雪になるなど、自然災害の頻度も増えている中、復旧作業にも余計に費用が掛かっていると想像されることからも、必要経費なのかなとも思います。
また、レベニューキャップ=収入上限を意味します。
この託送料金は、電力会社が目標とする事業計画の中で必要な費用を算出し、国に提出し承認されることで、収入上限を超えないように設定されるので、野放図に上がっていくものではなさそうです。
2023年4月からの電気料金試算してみた
ここまでの値上げ要因のポイントをまとめると、以下の項目になります。
- 基本料金の値上げ
- 電気量単価の値上げ
- 昼間・夜間料金の見直し
- 託送料金の値上げ
そして以上を踏まえて、ナイト8(10VA)・従量電灯B(30A)契約について、我が家が昨年4月と同じように発電・電気を使った場合の料金の変化を見てみました。
従量電灯Bプランだと、概ね5,000円程度の値上げになりましたが…
よりそうナイト8プランだと、値上げ幅は約4,700円程度に抑えられています。結果、太陽光発電設備を家庭に持つことで、電気料金の値上げが軽減されそうです。
・・・が!昼間・夜間の単価バランス変更が利いて、値上げ”率“だと6割強と遥かに厳しいです。思うように発電ができないと、悲惨なことになりそうな気配があります。
電気料金を抑えるプランは…?
とここまで計算してきましたが、実はよりそう+ナイト8など一部の低圧自由電力プランは既に新規加入受付が終了しています。
代わりに出てきたオール電化家庭や太陽光システムのある家庭向けのプランが【よりそうプラススマートタイム】です。
こちらは、現行プランよりも単価は高いものの、土日祝日の昼間も比較的安価な夜間料金と同じ設定になります。
ザクッと計算した感じだと、割高になるのですが、雪で発電が多く見込めない12~3月の期間や、長雨が続いた場合では、もしかすると年間で考えると、料金が抑えられるかもしれませんし、月々の増減の幅は抑えられそうな気がします。
この12~2月の3か月の総費用を検討して、プラン乗り換えも考えたいと思います。
後は、こまめな節電を子どもたちにも呼び掛けたり、冬期間は一か所にいたりと、できる範囲で節電していくしかないでしょうかね。。。
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