北秋田市から高速道路に乗り、大館北I.Cで降りてから大館駅方面へ。釈迦内交差点を左折して少し細い道を進んでいくと、大館郷土博物館があります。パッと見たところ、学校のような佇まいの建物ですが、元々は大館東高等学校の校舎だった建物を利用した博物館です。
大館東高校自体私は名前すら知らなかったわけですが、1992年に大館南高校と統合して、大館高校として開設されています。更に言うと、その大館高校も、2016年に大館工業高校・大館桂高校と統合して現在の大館桂桜高校として生まれ変わっています。
鷹巣に住んでいた私からすると、休日のお出かけと言えば大館が定番で、都会のイメージだったんですが、この当時はもう人口減の影響は出ていたんですね。
北秋田のおひなまつりも今日から始まっていますが、大館郷土博物館のおひなさま展も一足先に始まっていました。今週末の予定が思いがけず空白になってしまったため、ひな祭り本番前に眺めてきました。
施設概要
一言でいえば、大館市の歴史・民俗・自然科学をまるっと勉強できる施設です。
北秋田市も広い(全国市町村面積で18位)ですが、大館市もかなり広い(全国39位)ので様々な歴史や見どころを持っています。今でこそ秋田犬が世界的にもメジャーになり、観光誘致も進められていますが、学術的な面で街巡りをするなら、この博物館が一番の観光案内書になりそうです。
展示内容は以下の通り。
常設1F:自然・生物・農業・林業・鉱業
大館市の生息している動物等の自然、地質を紹介するとともに、農業の発達や鉱山の歴史を紹介しています。鉱山で実際に使われていた重機や道具の展示は、メカ好きな方には堪らないかもしれませんね。
常設2F:考古・歴史・民俗・先人
古代から近代まで大館市・その周辺地域の歴史を遺跡の出土品などと共に順を追って学んでいけるコーナーです。二井田の工業団地も新しくニプロ工場拡張の工事を行っていますが、その際にも遺跡が発見されたりと、縄文~平安時代と数多くの遺跡が発見されていますね。
2F:子ども科学館
宇宙・力・地球・生命の4つの部門で、展示・体験ができるコーナー。小さい子供から小学生くらいまで色々触って遊んで理科を学んでいけます。でも、ちょっと薄暗い中で人体模型がボーっと陳列されているのはホラーでした・・・
3F:曲げわっぱ展示室
大小様々な曲げわっぱが展示されています。大館工芸社の創業者である、堺谷氏から寄贈された改装費と曲げわっぱを元に整備されています。大館工芸社の年々の収支や従業員の数を追ったグラフもあったりと見所もたくさんです。
大館名物として定着している曲げわっぱですが、元々は武士の内職で作られていたようです。その原型になるものは何時ごろから作られて来たかはわかっていないようですが、大館市道目木の遺跡からは約1,000年前の曲げわっぱも出土しており、少なくとも平安時代には木の曲げ細工が造られてきていることは分かっています。
外:秋田三鶏記念館
大館市の鶏と言えば何といっても比内鶏が有名ですが、その他にも声良鶏と金八鶏がおり、秋田三鶏と言われています。食べられる比内地鶏は、比内鶏とブロイラーを掛け合わせたものでちょっと違うものです。
声良鶏はその名の通り、鳴き声が美しい鶏で江戸時代に米代川流域で飼われ始めたそうです。その後、比内鶏と交配されて改良され現在まで保存されてきました。比内鶏と共に国の天然記念物に指定されています。
金八鶏は、1800年代に当時大館に住んでいた魚屋の金八が、比内鶏と軍鶏を交配した際に生まれた突然変異種で、品種名も飼い主の名前から取られています。元々は軍鶏なので闘鶏向きで、非常に短気な性格。でも人には良く懐くそうですね。こちらは県の天然記念物に指定されています。
*この記念館は冬季(12月1日~3月31日まで)はお休みに入ります。
特別展:おひなさま展
大館の老舗料亭・北秋くらぶの大広間で飾られていた慶応年間の男雛・女雛を中心に、慶応~昭和初期まで作られた押絵雛、ひな人形など25組・約700点以上飾られています。このおひなさま展は毎年この時期恒例で行われていますが、市民からの寄贈で年々増えているようですね。
今年は、元・中町呉服商の野口家の蔵に眠っていた内裏雛と押絵雛41体が新たに寄贈されました。押絵雛は日本中で作られていましたが、長野県松本市あたりが一番盛んだったようですね。紙で型を造り、ご飯粒を潰して作った海苔で綿を貼り付けたり組み立てていくもので、人形に比べると平面的に見えますが、また違った華やかさが感じられます。
大小実に様々な雛飾りがあり、非常に見ごたえのある展示でした。禿頭の子供だけのお雛様だったり、北秋くらぶの雛飾りは流石の豪華さで、モデルの人物が竹之内宿禰だったり神武天皇までいらっしゃるのは驚きでしたね。
また、3月1日にはお茶の振る舞いもされるそうです。これから行こうと思っている方は、予定を合わせてみましょう。
また、特別展示室には、大館市内に住む4名の手芸好きな女性の作品が飾られています。津軽こぎん刺し・地機裂織・ボビンレース・刺繍などの作品が数多く展示されていますが、糸や布だけで作ったとは思えない絵画のようなクォリティでした。こちらも合わせてご覧ください。
また、大館市花岡にある鳥潟会館でも、2月29日~3月8日までおひなさま展が開催されます。花岡幼稚園・花岡小学校でかつて飾られたお雛様と、福祉バンク大館さんから吊るし雛を借りて展示されるようです。
歴史ある建物と豪華なお雛飾り良く合いそうですね。こちらも楽しみです。
まとめ
大館郷土博物館に行ってきました。
図書館なんかに行って本を読み解いて郷土史を勉強しようとしても、中々系統立てて覚えていくのは難しいものです。そんな時、郷土博物館に足を運ぶだけで、歴史から今まで残る遺跡、自然科学まで一通り頭に入れられるのは助かります。そこから興味のあるジャンルを深堀していくのは、割りとスムーズに行くので、こういった施設は大事にしたいですね。
おひなさま展も初めて見ましたが、本当に様々なカタチのお雛様が見られて楽しかったです。自宅では中々大きな雛飾りはできないのですが、娘の健やかな成長をと、当時の人々の願いが伝わって来るようでした。
因みに…ウチの娘に良く似ている人形。左が黙っている時、右がふざけている時。似すぎていて一人で笑ってしまいました。
開館情報・アクセス
●休館日;
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
●開館時間;
9:00~16:00
(受付は15:30まで)
●電話番号;
0186-43-7133
●住所;
〒017-0012 秋田県大館市釈迦内獅子ケ森1
駐車場は敷地内に十分にあります。
●ウェブサイト;
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 大館郷土博物館の敷地内にもう1つ小さな建物があります。 […]