ちょっと自分語りすると・・・
私は山形で大学に通い、宮城県で一旦就職をしています。そこで過ごした数年間ですが、お盆には一生懸命天ぷらとおはぎを売っていました。その時に偶々お盆に秋田のスーパーへマーケティングリサーチに出かけた上司が、赤飯が売られていたことに驚いて帰ってきたのを覚えています。
まぁ、元々甘いものが貴重だった時代、小豆をご先祖様に食べてもらいたいという想いから出発したと思えば、おはぎを供えるか・赤飯を供えるかは根っこの部分は同じと言えそうです。
ただ、青森県津軽地区が本家大本の風習ではありますが、法界折(ほっかいおり・ほうかいおり)というご先祖様にお供えするお弁当が秋田県北部でもかなり一般的になってきました。お盆の12日・13日にこの一帯のスーパーの売り場に大量に現れる商品を紹介します。
法界折ってどんなもの?
某・県民SH●Wでも数年前に紹介されていましたね。
青森県津軽地方では8月13日にお墓参りする方が多いようですが、その際には線香・お花に更に上の写真のような法界折と呼ばれる、お弁当と言うか折詰めを一緒にお供えします。
お供えした後は、墓前で皆で食べるのが本来の風習ですが、最近は暑くて傷みやすいためお供えした後に食べるといったことは減って来たようです。私の住んでいる秋田県北部では、あくまでもお供えだけです。子供の時はお供え後のお菓子をもらって食べてはいましたけども。
実際に、売られている法界折には【お供えした後には食べないでください】という旨の注意書きが貼られており、食中毒防止を呼び掛けております。最早食べ物として作られてはいないのか…?しっかり保冷剤を入れたクーラーボックスに入れて持って行けば大丈夫かと思いますが、そこは自己責任でお願いします。
何が入っているの?
内容は何社か比べてみても割と様々ではありますが、基本的に以下の物は抑えておきたいところかと思います。仏教では殺生を戒めるため、基本的には精進料理になります。
- 黒豆ご飯
- 山菜・根菜の煮物
- 落雁
- 季節の果物・野菜
- 煮豆
- ミニ大福などのお菓子
- 鏡天
1.黒豆ご飯については、小豆を使った赤飯は本来おめでたい時に食べるものとさるため、黒豆で炊いたご飯を使うのが本当のようです。ただ、赤飯で代用されている会社が多いですね。
4.季節の野菜については、メロンをど~んと入れていらっしゃる会社もあれば、オレンジ・みかんだったりと特段決まりはないようです。何故か一番多いのがライチ。保存が容易なのか…ちょっと不思議なところです。他にも、旬の季節を迎えているとうもろこしや枝豆を入れている会社もあります。
7.鏡天は、丁度真ん中位にポコンと入っている透明な丸い物体のことです。こちらも入ったり入らなかったりしていますが、仏様の心映す鏡という意味があります。突き出す前の心太を使うのが本当なようですが、置いておくと結構な水が出てきたりと苦労しているみたいですね。
その起源は?
京都の施餓鬼供養の風習が弁財船によって遠く津軽地方に伝わった説もありますが、諸説あるようです。弁財船自体が、安土桃山時代~明治時代まで運航していたことを考えると、永い時間を掛けて少しずつ広まってきたのかもしれません。
お値段は?
青森だとユニバース・カブセンター・佐藤長など地元の主要スーパー、秋田だとイオン系列・いとくなどで買うことができますが、概ね各社とも大小の2サイズを品揃えしています。
値段は、税抜きで小598円・大798円が多いです。
勿論、手造りされる家庭もありますが、回るお墓の分だけ用意しないといけないのが大変なみたいです。その手間をスーパーに助けてもらうという感じで年々売上も増えているようですね。
まとめ
という訳で今回は、青森県津軽地方のみならず、秋田県北部でもお盆のお墓参りには欠かせなくなってきた法界折についてまとめてみました。
本場の輸出元の人間ではなく、お盆のお墓参りの時期は仕事の忙しさがピークを迎えているので実際に行けないため、聞きかじり程度の知識ですが、ここ数年で得た知識を集めてみました。
面白いことに秋田県北部と言いながらも、藤琴町・能代市の旧二ツ井町までは需要が多いものの、能代市に入るとパッタリと薄れてしまう線引きも面白いです。
また、秋田市に行くと御霊供膳(おりくぜん)という様に、お墓ではなく仏壇に上げる前提の商品の方が売れるというのも不思議です。それぞれのライフスタイルから派生した文化・風習が、地域によって細かく違うというところも秋田県の魅力と感じますね。
次の疑問点…
津軽の南部地方では同じようなものがあるのか・・・?情報をお持ちの方、教えて下さると助かります。
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