元旦の初詣のお参りの後に家族でお神籤を引きました。
私はここ何年か末吉が続いておりますが、それぞれに書いていることはそれ程悪くなく、
極端に良くても落差激しいと疲れるから、平坦な感じで良いな…
と思う位、刺激を嫌う私なので、或る意味で丁度良いくらいと思っておりました。
ただ、今年に関してはピンポイントで仕事に関わりそうな項目が、不穏な雰囲気を出しているのでした。
- 相場…大ゆれにゆれる
- 商売…不意の動きあり
と言う部分。“恋愛“の『あきらめなさい』も冷たくてなかなか辛いところですが、上2項目が昨年から続く色んな値上げを今年も引き摺り続ける予感を醸しだしています。
さて、実際どうなりそうか?
正月明け、3連休も終わり漸く色々集まって来た状況をまとめてみました。
”変わった”値上げ理由
結論としては、食品他の値上げは続きます。
しかし、昨年とは主だった値上げ申請の理由が大きく変わっていると思います。
昨年から変わらない部分は、主に品不足。
- 魚…不漁(昨年の青森県・八戸港の水揚げ量は3万tを割り込み、75年ぶりの低水準に)
- 鶏肉・鶏卵…頻発する鳥インフルエンザの発生(他、飼料代・燃料費も)
- 小麦など穀物…ロシアのウクライナ侵攻、天候不順
そして、昨年は記録的な円安により、輸入原料が高騰する事態が発生し、それを理由とした値上げが多かったのですが…
2023年については
- 光熱費
- 人件費
- 物流費
が値上げの主な理由として挙げられています。
因みに、円相場は一時の150円台から130円前後で近頃は推移しているので…
だったらその分値下げしないの?
と言う声もありますが…
今、国内の原料在庫が海外で買い付けした時点で高掴みしていると、次の安く買えた在庫が入ってくる前に値段を下げると利益が出ません。
また、今は落ち着いているとはいえ昨年末の乱高下を見ていると、一時の円高傾向で値下げに踏み切るのはリスクしかないと思います。
また、そもそもの昨年初めの基準を1ドル110円位とすると、1ドル130円でも2割程度高い水準は続いているので、為替を理由に値下げを迫るのもまだ違うようなぁ、と思います。
インパクトが大きいのは“光熱費“
上記に挙げた3つの値上げ要因のうち、光熱費…特に電気代の値上げが利益を大きく圧迫しています。
家庭向けのプランでも自由電力については、燃料調整費の上限撤廃で大幅値上げが既に起きていますし、一旦2月からは政府支援で一時落ち着く見込みも、4月からの価格改定により大幅な値上げが見込まれます。
それが商業施設・工場向けの高圧電力・特別高圧電力プランだと、政府の支援策も家庭向けに比べて効果が更に限定的になりそうとのこと。
以下のサイトで詳しく解説しておりましたので、参考にしてみて下さい。
既に電気代が昨年比130~150%で推移していると言われている所に、更に掛かり増ししていくことになると、自ずと価格に転嫁していかないと企業の存続に関わってくることになりそうです。
更に、岸田首相からも『値上げを上回る賃上げ』を、という要請が出ていますし、最低賃金も今後更に上昇すると、自動的に人件費も上昇していくことになりますが、その上げるための”原資”を確保するためにも、利益高は守る必要があるため、製品価格は上げざるを得ない状況は続きそうです。
値上げが加速している?
前より値上げのハードルが下がった?
本当に状況の変化が目まぐるしいので致し方ない部分もありますが…
コストカット・生産効率のアップなど、企業努力の限界をとうに超えているからだと思われます(中には便乗もあるかもしれませんが…)
物価高騰の話題が出始めたときに、海外に比べて日本はそのスピードが緩やかだという報道がありましたが、価格転嫁の前に水面下で相当な努力を行っていたからだと思います。
また、買う側もある程度の値上げは仕方ないものとして受け入れる土壌ができてきた要因もあると思われます。
とは言え、電気など生活に欠かせないインフラ系ならまだしも、お客様の選択肢が広い(競争が激しい)業界・嗜好性の強い製品を扱っているメーカーほど値上げはハードルが高いのではないでしょうか。
我慢は毒か?
下に例として”1個10円の商品を半年間で20円に値上げ“した時の時系列イメージを2パターン作ってみました。
- 3か月で5円ずつ値上げし、半年で10円値上げ
- 最初の3か月は我慢したけども、最終的に10円値上げした
両方とも最終的な値上げ幅は変わらないのですが…
個人的な感覚としては、半年後には”後者の方が切られている可能性が高い“と思います。
1回のインパクトが大きいと売る方も買う方も途惑いが大きく、じゃあ他のにしようという心理が働く可能性が高くなります。
同じ幅で値上げせざるを得なくても、細かく申請していった方が慣れ・仕方ない心理が働きやすいのではないでしょうか。ただ、第一段階で切り替えの憂目に遭う可能性も否定できませんが…
海外に比べて日本の方が物価高騰のスピードが緩やかな原因として考えられるのは、まずは値段上昇を防ぐための工夫を第一に考えるからが大きな要因かと思いますが、流通の段階で“どこか”が我慢している可能性も大いに考えられます。
原材料→メーカー→問屋(1次・2次…)→小売店→顧客
と一般的な流通経路に於いても、それぞれの段階で価格交渉がおこなわれますし、他社へ切り替えられるのを恐れて、我慢してしまう段階があります。
ただ、我慢を重ねた結果、企業として破綻しても意味がないので、お互い理解をして“歩み寄る関係性”が今はより重要になっている時期だと思います。
ただ、値上げをせざるを得ないにしても、受け入れてもらうための努力や工夫が必要なわけで…そこが今一番頭を悩ませている所ではないでしょうか。
まとめと企業の対策
2023年が始まった時点での観測をまとめてみました。
- 物価高騰はまだまだ続く…と思う
- 取りあえずのカギは電気代と人件費
- 企業としての努力・工夫はずっと続く
と言うわけで、価格が下がる気配は暫くなさそうです。
光熱費を抑えるためには、こまめな消灯や室温の調整の他にも、機器の入れ替えなど設備投資も考えられますが、やはりそれをするための原資をしっかり確保しないといけません。
結果的に値下げに踏み切る要因は限りなく少ないと言えそうです。
一方で、政府からも物価高騰を超える賃上げ要請が出ており(その割に“増税”も言うので根本的な視点がおかしい…可処分所得が上がらないとダメなんですが。その点、菅総理時代の携帯料金値下げはピンポイント過ぎる感じもありますが、的を得ていたと思います)、大企業のトップも反応していますが、大部分の企業が賃上げに対応できるかは”個人的”には疑問です。
そういう理由で、今年も引き続き商売的には厳しい状況が続く予感を持っています。
私が予想する、今年強まる傾向としては…
- 高品質⇔経済性の二極化が更に進む
- “あれば便利”なものの購入は慎重に
- 生き残るのは”ホンモノ”
様々な業界に適合するように言い換えると…消費する日と消費しない日のメリハリが更にハッキリしてくる、嗜好品への消費金額が減るといった感じでしょうか?。
より実質的な消費へ舵が切られていくのではないかと思います。
その中で、お客様に選んでもらう立場の仕事をしている私としては、値段やニーズに見合った価値・より便利に・美味しく・高品質な商品を作り続けていく姿勢を忘れずにに今年も1年仕事に邁進していきたいと思います。
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