今年に入ってからの値上げ品目が全国で1万点を超えたそうです。
これで終わりかと言うと、まだ8月以降分も発表されていますし、水面下では私の元にも9月以降のお話がきているので、まだまだ先は見えない状況です。
正直、小売りの仕事をしていて、ここ3年前くらいの環境の変化は予想だにしていませんでした。その位に目まぐるしい変化ですし、ここ半年は更に変化が加速しています。
変化も良い方向ならまだしも、業務用で仕入れ原価が下がったのは米くらい(これはこれで別の問題がありますが)で、高騰していないものを探すのが大変です。
いつか落ち着く時が来るのか?
個人的にはまだまだ上がり続けると予想しています。紐解けば、大本はコロナ禍になるのでしょうが、今の流れは色んな要因が複雑に絡みすぎているので、全く出口が見えません。
今の状況を、簡単ではありますが一旦ここでまとめてみようと思いました。
そもそもの品薄
世界中で続く生育不順・資源の枯渇
昨年から私の仕事上、インパクトの大きい要因は食用油の高騰。直近10年くらいの一番相場が安い時に比べても、2.5倍以上ではないでしょうか…?
要因は、昨年のカナダでの菜種(キャノーラ)の不作が大きいとのことです。
他にも原油高に振れると、バイオディーゼル需要を満たす方に回るため、食用油も上がると言う要因があります。
また、魚は全体的に捕れなくなったり、地域でも獲れる魚種が変わっている状況が続いています。
サンマ・ハタハタはずっと漁獲が少ない状況が続いていますが、今年はタコが非常に厳しく、小麦高騰も相まって、たこ焼きなんかはダブルパンチを食らっている状況です。
順調に進まない搬入
コロナ禍で、海運が滞っている話は少し前にもしていました。
コロナで港湾作業が滞っていたのが要因ですが、コンテナ不足は依然として解消されず、日本への入船が相変わらず遅れています。
ちなみに、私が当初4月に販売予定していた商品が、未だに入荷されていないものもあったりします。
これは、中国・上海のロックダウンの影響が大きいため。今や上海港は、世界一の貿易港になっています。
今年の玉ねぎの異常な高値は、昨年の北海道の不作によるものと、上海の封鎖の要因がダブルパンチで効いている模様。
ロックダウン自体は先日解除になったそうですが、昨日のニュースでほぼ全地域でPCR検査を行ったとの報道もあり、あくまでも”ゼロコロナ政策“が続く限りは搬入リスクも減らないと思います。
加えて、日本から上海へのコンテナ便も、以前は日本からの荷物を積んで向こうで下ろして、また荷物を積んでくる流れだったようです。
ただ、今は空のコンテナを積んで出発して、向こうで荷物を積んで帰るケースもあり、その分掛かり増しした運賃が商品に上乗せされる構図もあるようです。
戦争の影響はこれからまだまだ
最近では鶏肉の値上がりが顕著になってきました。
安価なブラジル産の日本への輸入量が減ったため、価格が一気に跳ね上がっている状況です。仕入れ値で一番安かった時期の2倍近い水準になってきました。
原因は、今まで買ってこなかった欧州が買い始めたため。
小麦・ヒマワリ油などがクローズアップされていますが、実はウクライナは鶏肉も多く生産しています。2020年の輸出量は約450,000tと世界第5位だったりします。ブラジルの8分の1程度とは言え、数値にすると凄い量ですね。
他にも、前述の小麦は10月以降~来年以降もウクライナが復興するまでは影響が続きそうです。せめて、戦争が早く集結してくれることを祈るだけです。
国内産も製造コストup
輸入品が厳しければ、国産へ!と行きたいところですが、日本の食料自給率の低さが大きな問題になってきます。
確かに、原料段階では国産品の値差は以前よりも大分小さくなりました。物によっては、輸入=国産くらいの相場にもなっています。
ただ、市場の絶対量が減ると、需要と供給のバランスで値段は上がりますし、製造コストを上げている要因もいつくかあります。
- 光熱費高騰 … 原油高・ガス代高騰
- 人手不足 … 労働人口の減少・外国人研修生の入国遅れ
- 設備更新の費用高騰
などなど。
実際、カキフライは剥く人手が少なくて造られる数も減ってしまっているようです。
ちなみに、一部報道で外国人技能実習生=安い労働力と言う捉え方をされているもありますが、きちんと受け入れを整えていると、決してそんなことはないので、お見知り置きを。
円安がもたらすもの
業界で分かれる傾向
単純に輸入販売を行う会社が厳しく、輸出販売を行う会社が業績が好調になっているようです。
ただ、先述の通りに、食料やエネルギー資源の国内自給率が低く、大部分を輸入に頼っている日本に於いては、家計に対して、生活必需品である食料やインフラ維持の負荷が大きくなってしまっています。
ちなみに、コロナ禍の中では、観光業・外食が大きなダメージを受けてしまいましたが、内食傾向によって食品小売業は逆に好調になりました。今は感染も落ち着いてきたこともあり、またコロナ以前に戻りかけている印象です。
状況の変化によって、業種の明暗がはっきり分かれるのは、どんな要因でも起こり得ます。
インバウンドが復活すれば…?
そして、円安になれば外国から観光客の来訪に期待できる、と言われており、入国可能な外国人の数を増やそうという流れになっています。
今年5月24日に発表された2021年【観光魅力度ランキング】に於いて、日本が第一位になったこともあり、再び観光業が伸びていくことは確かに期待できそうです。
ただ、食料の値段に対しては、更なる値上げの原因になりそうな感じがしています。
というのも、昨年米価が下がったのは、外食などで米の需要が減ったことも要因の一部です。また、外食向けの冷凍食品などもダブついて安く降りてきたこともありました。
そして、このタイミングで外食・観光業の活性化で、食料の需要が上がっても、供給の不安定さは依然としてあると思うので、値上げがもう1段階・2段階・・・と続いていきそうだなと私は予想しています。
まとめ 国産回帰も…?自給率upのために
ここまでの食料品値上げの要因を大きくまとめると、
- 全世界的な不作や資源の枯渇
- 続く円安傾向
- まだまだ続くコロナ禍
- ロシア/ウクライナ情勢
こんなところを挙げてきましたが、日本に入ってくる物品が減っている要因が更にもう一つ・・・
円安が進むことで、輸入品の海外での買い付け値が高くなっているのにプラスして、海外各国の賃金が上昇しているのに対してずっと止まったままという現実が利いています。
日本が相対的に貧しくなっているため、買い付けの競争でも負けているため、食料が確保できなくなってきているという話も聞きます。
近々では、海老やサーモンがその様な傾向で、回転寿司屋さんでも提供をやめたネタが増えてきました。
今回、仕事上で聞いたり調べた事項をまとめていて、改めて終わりの見えない状況を実感できました。食うや食わずの時代が本当に訪れるような気がしてなりません。
と言うことで、今やっている自分の仕事にも実は結構な疑問を感じつつあります。
言わば、消費を促す仕事なので、せめて自分の判断の部分でロスは出さないようにしようと考えて今は仕事していますが、これからは生産=農業がもっと注目されるべきだなと思います。
そんな折、北秋田市の広報を眺めていると、桃豚を生産する小坂町の【有限会社 ポークランドグループ】が北秋田市七日市に農場を作り、従業員を募集していました。
北秋田市民の1.5倍もの頭数の豚が飼育されるようですね。
ここに来て輸入豚肉も値段が加速的に値段が上がってきたので、国内で農業の事業を拡大できる法人はこれから伸びていって欲しいと思います。
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