もうすぐ消費税10%への増税が行われます。
私の会社でも対応の最終調整を行っているところですが、今回はちょっとややこしい軽減税率の存在があり、思いがけないトラブルが起きないことを祈るのみです。値段の付け方を見ても、各社様々な対応でこれが良い!という決定打はなさそうです。
ただ、一番身近なところで外食産業が一番影響が大きいのではないでしょうか…?
持ち帰り・店内喫食で値段が変わらないように本体価格を下げたり、商品やメニューに手を加えて単純に支払う金額が増えたように見えなくする工夫もされると思いますが、基本的には支払う金額が増えることが想像しやすいので、暫く敬遠されがちになる気がします。
反対に、軽減税率が適応され、大部分が8%に据え置かれるスーパーやコンビニの食品の需要は上がる可能性が指摘されています。特に、自分では作る時間がないけど値段が上がる外食は控えたい…と言う方の味方がスーパーやコンビニのお弁当・お惣菜です。
ただ、実際はどうなのか分解して考えてみました。
惣菜のお弁当で見よう!
スーパーやコンビニなどに並ぶお弁当を食材・包装資材に分解した時に単純に標準税率(10%)が適応されるのは、写真の赤字の部分です。
トレーや付け合わせを入れる仕切りカップ、またサービスとして付けてくれる割り箸の仕入れは、ダイレクトに2%の増税が適応されます。また、アルコール分1%以上含む酒類についても増税対象になるため、煮物等の調味料として使われる(料理酒・本みりんなど)も原価が上がることになります。
それでも、お弁当の大部分を占める食品原材料については、食品である以上、仕入れの段階でも軽減税率の8%が適用されるため、そんなに影響ないんじゃないか?と思われる方がほとんどかと思います。
しかし…
その裏にこんな経費増が…
食品原料の収穫から食べ物が消費者の元に届くまでの簡単なフロー図を下にまとめてみました。
パッと私が思いつく限り、赤で囲った部分が消費税が直接かかってくる部分・青で囲った部分が別途必要になる経費です。
実はお弁当に使われる食材の原料・加工・流通のそれぞれの過程でも、チクチクと消費税の掛かり増しが起きています。1コ単価にばらすと大した金額でもありませんが、大量生産・流通の中では積もり積もって結構なお値段になってしまいます。
例えば、1コ20円+税金の唐揚げをお弁当に使うと、今までは21.6円。これからは22.0円と40銭の原価が掛かりまします。それを1日300Pで120円、1ヶ月作り続けると、約3600円ほど月間で儲けが減ってしまいます。こんなのがお弁当の中には何種類も出てくると、トータルでは結構な金額になっていきます。
その他にも、直接消費税が掛かるわけでもないものの高速料金の値上げも予定されたり、お店で使用するレジのシステムも変更・更新が必要になります。しかもこのシステム更新や変更については、みなさんが考える以上の金額が必要です。(7桁以上になることも・・・)
値上げまでのプロセス
消費税が3%・5%…と上がって行った時に、値段の上昇の例としてよく話題になっていたのが自動販売機のジュースです。目に付きやすい分、消費税の上げ幅以上に値上げになっているんじゃないかと標的になりますね…。
自動販売機の10円刻みの値段設定の問題もありますが、実は上で示した様な原材料・缶/ペットボトル自体も値上げになり、更に最終製品のジュース自体にも消費税が掛かり増しするといった何重かの課税によって最後の値段が決まっています。決して便乗値上げをしている訳ではないことは理解しておきましょう。
また、商品の設計者としては、他企業より優位に立つために、より良いものを少しでも安くお客様に提供したいという気持ちは誰でも持っていると思います。その為、良い物を見定めて少しでもコストをカットできるように交渉する等、仕入れの努力を行っています。
一方で、企業人としては自身の会社の存続・業績も考えないといけないので、お客様と会社の両方の利益を考えて仕事をすることになります。ということで、原料高がどうにもならないと見ると、今度は製造工程の工夫やムダのカットでコストを抑えようと努力を行いますが、それでもどうしようもなくなった時、あくまでも最終手段として内容量減や値上げに踏み切ることになります。
まとめ
消費税増税について、スーパーのお弁当を例にとって分解してみました。
実際、最近の食品の値上げラッシュは、原料不足や人件費増大に拠るものの方が大きいのですが、消費税増税も回り回って税率以上の値上げ要因になりえることも理解しておいて欲しいです。
ただ、値上がり以上に給料の手取りが増えていくと問題ないのですが、賃上げはされても社会保障費も上がっているので、名目賃金すらも上がり辛い状況です。そこに商品価格も上がっていくので、実質賃金が徐々に下がっていくのが今の日本だと思います。
消費税アップ自体は決して悪いことではないとは思いますが、今だったのかなという疑問は拭えません。かと言って、覆すのも最早無理だと思うので、如何に賢く消費活動をしていくかが今後の課題ですね。
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